2009年9月29日火曜日

展覧会風景



展覧会も残すところ、5日となりました。
展覧会の写真をたくさん掲載したかったのですが
実際に見ていただいたとき驚いてもらいたいので
なるべく断片的に掲載していました。
でもカメラマンの方に撮影いただいたこともあり、ちょっと多めに写真を載せます。




展覧会というのは不思議なもので、
やはりその場で体感しないとわからない空気というものがあり
観るタイミングを逃して悔しい思いをする展示もたくさんあります。
この展覧会がそういう展覧会の一つになれば嬉しいです。

作家と一緒に会場を見に行った冬のことや、汗をダラダラかきながら打ち合わせをしたことや、
そういう風に少しずつ場所に寄り添っていけたことが
展覧会の空気を作っているのかもしれないなと思いました。
そしてこの空気は見に来ていただかないと、体感できないものだと自負してしまいます!



今回はホワイトキューブどころか白い壁など無く
場所の力に頼ってしまったところもあるかもしれません。
それに荒削りな部分や、勢いが支えている部分もたくさんあります。
でももしかしたら、作家の、これからどんどん発展していく活力を感じてもらうにはとても良いのかもしれません。

今回の展覧会は私はまとめ役という表現者の立場から、この仕事ができて本当に良かったなと思います。
10年前に見たいくつかの展覧会が、今の私の仕事の原点にあり
展覧会が、ただ作品に出会うための場所だけでなく、表現の手段になることに衝撃を受けました。
まだ未熟ではありますが、私が思う理想の展覧会を色々な形で実現できたら面白いなぁと
夢が広がります。

日曜日までに、多くの方とお会いできるのを楽しみにしています。


※元サウナだったので?入墨禁止の看板があったり。こういう物も、作品に影響しなければ残しましたので、お気に入りを見つけて下さい!

紙コップで町をつくろうワークショップご報告


9月27日に紙コップで町をつくるという子どものためのワークショップを行いました。

糊やはさみなど道具を一切使わず、ただ紙コップを積み上げるというワークショップです。


作品の合間を縫うように、紙コップの町ができあがりました。



子どもの目には、展覧会はどのように写ったのでしょうか。
ただの紙コップが、お城になり、道ができあがって、一つの町になっていくのを私もびっくりしながら参加しました。
いつもの会場とはまた別の雰囲気で作品を味わうこともできたように思いました。
ご参加いただきました皆様どうもありがとうございました!

2009年9月24日木曜日

9月27日ワークショップ

子どものためのワークショップを開催します。よろしくお願いします。


紙コップで町をつくろう!みんなの江戸川橋にあるお風呂屋さん「松の湯」の2階が
なんと紙コップの町になっちゃう!?
2000個の紙コップを使って、みんなでステキな町を作っちゃおう!
参加者ぼしゅう中!


★開催日
2009年9月27日(日)

★場所
松の湯2階 新宿区山吹町16
東京メトロ有楽町線江戸川橋駅2番出口より徒歩8分

★時間
① 13:30 15:00 ②15:30 16:30

★参加対象
幼稚園・保育園年長 小学生まで
(小学校3年までのお子さんは保護者同伴でお願いします。)
親子参加大歓迎です!!

★講師
工藤 春香(画家・芸術による教育の会講師)
しんぞう(画家)塩川彩生(画家)

★参加費
無料 (持ち物はありません)

★定員
各回20組
★お申込み方法
メールにて下記までお申込みください。件名・松の湯ワークショップ
本文:参加者名 参加者人数 参加者学年、参加時間 電話番号を明記してください。
お申込みが確認でき次第、ご返信いたします。

★連絡先
工藤 春香 harukakudou77@hotmail.co.jp

*今回のワークショップは松の湯2階で開催されている美術展「柔らかな器」展の会場で行われます。
現代美術の若手作家の意欲作が展 されている本展をぜひ併せてご覧下さい。
★主催
柔らかな器実行委員会 http://yawarakanautsuwa.blogspot.com/
*協力・素材提供 芸術による教育の会 http://www.geijyutuniyoru.com/index.html

掲載情報2

手前味噌すぎますけど、ART遊覧に記事を書きました。
本展のコーディネートをしている水田紗弥子(私です)は、ART遊覧TOKYO ART BEATで展覧会のレビュー記事を書いています。できれば同世代のアーティストときちんと話して記事を書きたいと思っています。



黒野くんは、洗面器の展示位置を変えたりしてる…。
制作の前のピカピカの洗面器もきれいだった。

がるりプロジェクト詳細

江戸川橋近辺を散歩というプロジェクトがあるので、興味が有る方は参加してみてください!
詳細は以下。次の土曜日です!江戸川橋近辺はかなり昭和な匂いが残っています〜

「柔らかな器」を中心に、周囲のおいしいお店、すてきなお店、ギャラリーなどなどを
歩いて回ります。
また、文化施設だけでなく「鳩山会館」という、
次期首相の生家もコースに入りました。
文化だけでなく政治まで・・・なんとも濃い一日になりそうです。

日にち:2009年9月26日(土)
集合時間: 11:00
集合場所:江戸川橋駅2番出口
参加費:1000円(がるりバック、ガルギリ付き)
※江戸川橋までの交通費、その他施設への入館料、食費などは別途になります。
定員:10名
お申し込み:garuriproject@gmail.com まで

http://garuriproject.com/

2009年9月20日日曜日

カタログ



今回、展覧会の開催にあわせてチラシとは別にカタログを制作しました。

20ページの小さな冊子ですが、展覧会までの経緯や作家について理解が深まるものにしました。

出品作家の工藤春香の展覧会開催によせての文章は、
自分の美術の原体験でもあるマティスの作品との出会いに触れながら
どうやって自分が制作に向き合うかを悩みながら進んでいってるのがわかって
とても良い文章です!
特に、音楽や料理のように美術が身近になったら?という問いと、
それにどう答えていくかーそして、美術館やギャラリーのような整った場所ではなく
人々が生活する場所で展覧会を開催しようと決めたという経緯が伝わってきます。

私も短い文章を掲載させていただきました。
自分が学生の頃から感じていた現代美術への不信感と
それでもなお、美術にいつも心を震わされてここまで突き動かされてきたのだなぁ
という一つの答えに、文章と展覧会を通じて一歩近づけたと思います。

他に作家アンケートや作家のコメントも掲載し、資料としても使えると思います。
若い作家の資料は少ないですから!

デザインはチラシもパネルも全部制作してもらい大変お世話になった清水悟さん(スイモク)に
お願いしました。彼が私たちの展覧会の意図をよく汲み取って下さり
素敵な本に仕上げてくれました。

広告を掲載くださったガレリア・デ・ムエルテとレモン画翠、
そして詳細は書く事ができませんが、印刷を引き受けて下さったご支援にも
心から感謝しています!

イベント報告&トーク告知





昨日お越しいただいた皆様ありがとうございました!

しんぞうさんと工藤春香さんによるライブペインティング、
30分であんなに世界が広がっていってとても面白かったです。

しんぞうさんが、画面の中でどんどん色を混ぜていくところや
生っぽい絵具が現れたりする、その過程を目の当たりにできて興味深かったです。

工藤春香さんは風景が層になって重なっていく制作過程に納得しました。
鮮やかな色が画面に残っていたり、色面が線に変わっていったり
生きている画面に圧巻されました。

2人の今回の作品はうまく展示できたらいいなと思っています。

今回はライブペインティングにあわせて、月野光司さんがご自身の詩と坂口安吾の桜の森の満開の下を朗読してくださいました。
月野さんの朗読を聞くのは初めてでしたが、自殺やアル中引きこもりの問題が根底にあって
自分の実体験を自分の言葉で、この瞬間に届けようという気持ちがすさまじくて私は感想が上手く伝えられませんでした。
何よりも月野さんの生き様と、それを取り巻く周囲の環境もすごいのだと思います。
私は猫に自慰行為を見られたという衝撃のシャウトと上司名指しの詩に笑いました!
そういうのを上手く挟んで、ぐっと観客も引込まれていました。

第二部はパルコ木下さんを招いて、しんぞうさんと工藤さん3人でトークをしました。
今回の展示の作品がアウトサイダーアートっぽいかもしれないと言いながらも
現代美術の文脈がたくさん枝分かれして、
どれが良いかという評価がわからなくなっている人が多い中で
とても真摯に表現を行っている今回の出品作家を評価してくださいました。
現代美術を扱う大きな美術館や、世界的なトリエンナーレやビエンナーレで
どこでも目にするようなマクドナルド的な美術作品ではなく
この場所で、この時でしか見られない展覧会だということを
すぐにキャッチして下さったのが、嬉しかったです。





長くなりましたが…

今日は16時から塩川彩生さんと工藤春香さんの作品解説トークがあります。
どうぞ遊びに来て下さい!

2009年9月17日木曜日

ライブペインティング&アーティストトーク

★開催日 9/19(土)

16:00-16:30 ライブペインティング しんぞう+工藤春香(朗読:月乃光司)
16:40-17:40 アーティストトーク パルコキノシタ+しんぞう+工藤春香

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展示作家の工藤春香としんぞうがライブペインティングを行います。
朗読は「こわれ者の祭典」代表の月乃光司さんです。

工藤春香としんぞうには共鳴しあう部分が多くあり、今回はお互いが好きな作家、坂口安吾の朗読にあわせてライブペイントを行います。

月乃光司氏の言葉に、二人の作家がどう反応してどういう絵を描くのか。その対比を楽しんでいただけたらと思います。

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ライブペイントの後はアーティストのパルコ木下さんをお迎えしてトークイベントを行います。

パルコ木下さんは1965年生まれのパルコ賞受賞作家。
パフォーマー、漫画家(ガロ「漂流教師」)、美術学校の講師と、多岐にわたり活躍されています。
また、会田誠氏、小沢剛氏なども所属する「昭和40年会」にも結成から参加しています。

今回のトークイベントでは、パルコ氏、しんぞう、工藤春香に共通する点―現代美術の目新しさに流されることなく、個人個人の感覚の境目を行き来しながら表現をしている作家―その辺りから話を始めたいと考えています。作家が今考えている生の声を是非お聞きください。

2009年9月16日水曜日

掲載情報

ぴあ
9月10日発売「ススめる!アート」コーナー
http://www.pia.co.jp/


朝日新聞 9月16日夕刊 マリオン
マリオンHP

web

TAGboatウェブサイト内 ex-chamber memo
幕内政治さんが展覧会情報紹介を掲載してくれました。
幕内さんの視点で作家の紹介もしてくださっていて感謝です!


しんぞうさんHP
こちらで「柔らかな器」裏情報を手に入れてください!準備の写真も大きく載っています。
http://sinzow.exblog.jp/


ムサビHP
しんぞうさん、平川正さん、あと実は水田もムサビ卒です。



会場での写真撮影可能です!!
ご自身のブログで宣伝してくださいね。

2009年9月15日火曜日

オープンしました

たくさんの方々にオープニングに来ていただきました。ありがとうございます。
開催にあたっては、本当にたくさんの方にお世話になり、たくさんの方の知恵に頼りました。
なんとか無事に開催することができ、とても面白い展示ができあがりました。

作品のパワーも、場所の面白さも伝わったようでたくさんの感想いただきました。
こうしたほうが良いかも という提案もいただきました!
少しずつ改善して、会期中皆さんが見やすいように心がけたいです。

これから来る方へ…
会場は土足厳禁です。脱ぎやすい履きやすい靴でお越し下さい。
会場はクーラーがありません。ごめんなさい、暑いときがあります。
写真撮影OKです。皆さんのブログに感想をアップしてください。


作家と私(水田/コーディネーター)の記念撮影写真をどうぞ。



準備は大変なときもありましたが、参加作家たちと話していると心からおもしろくて
こんなに話しているのにまだ話し足りないおもしろい仲間であり友人たちです。

少しずつ、搬入の風景や、もちろん展示の風景もアップしようと思います。

2009年8月27日木曜日

松の湯 交通案内

会場:松の湯二階
住所:新宿区山吹町16
東京メトロ有楽町線 江戸川橋駅 2番出口より徒歩8分
*1階銭湯に入らず、正面入り口左手にある階段を上がると展覧会場です。



会場の松の湯は、1階は今も銭湯として営業しています。
2階は以前はマッサージ室とサウナを兼ねていましたが、今は空きスペースとなっており、今回展覧会場として使用させていただくことになりました。
赤いベルベッドの壁や、シャンデリア風の電球カバー、ピンク色のタイルのトイレなどかなり昭和な匂いのする空間です。
お越しの際は、作品だけでなく、この空間もお楽しみいただけるかと思います!



2009年8月26日水曜日

壁立ててます。




一部壁立てました。黒野くんがほどんとやってくれました。黒野くんと木材を買いに行って、車が木材だらけになった。運転している黒野くんの頭が木材に当たっておもしろいのでじろじろ見ました。しんぞうさんが持ってきていた諸星大二郎の壁男をチラ読みしてしまったので、壁を立てて壁男に悪いと思いました。

2009年8月25日火曜日

みんなで掃除しました

6月某日。
銭湯2階を皆で掃除。じゅうたんに埃が何センチも積もっていて、そういうものをはぎとるように落とすと床の色が変わった。
場所の雰囲気と、空間がつかめてくる感じがしておもしろかった。



2009年8月18日火曜日

展覧会概要

 ■ 展覧会タイトル
「柔らかな器—感覚の境目を行き来する6人の作家」

 ■ 会期
 2009年9月14日〜10月4日(会期中無休)
 月〜金16:00-21:00 土日祝11:00-19:00

 ■ 会場
 松の湯二階(新宿区山吹町/江戸川橋駅より徒歩8分)

 ■参加アーティスト
 工藤春香、黒野裕一郎、塩川彩生、塩谷良太、しんぞう、平川正

 ■主催/企画
 柔らかな器実行委員会

 ■助成
 野村国際文化財団 

 ■協賛
 galeria de muerte有限会社レモン 東京陶芸器材株式会社ターナー色彩株式会社

 ■協力
 松の湯

 ■認定
 社団法人企業メセナ協議会

「がるりプロジェクト」を開催します!

本展「柔らかな器」のほかにも、近隣のギャラリーを散策するツアーをがるりプロジェクトが企画してくれました!

ーー

がるりとは、ギャラリーのこと。
がるりバック(*1)にガルギリ(*2)を詰めて、
みんなでピクニック&ギャラリー見学。
てくてくその日のアートを集めてあるきます
その街の自然に触れたり、地元の商店街に立ち寄ったり、秘密の場所を見つけたりしながら
一緒にギャラリー見学しませんか?


(*1)がるり遠足のためのバック。遠足をもっと楽しくするために・・・・homam*さんオリジナルバックをプレゼント。homam*→http://www.homamoh.com/banana/


(*2)がるり+おにぎり=ガルギリ。この日用に特別のおにぎりを1個用意します。
「同じ釜の飯を食う」、そこからうまれるコミュニケーションは血や骨を作っていくと思います。

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がるり遠足&ピクニック
日にち: 9月26日(土)
集合場所: 江戸川橋駅2番出口
集合時間: 11:00
参加費:1000円(がるりバック+ガルギリ付き)

申し込み方法・問い合わせ:garuriproject@gmail.com まで
詳細はHPで : http://garuriproject.com
主催:がるりプロジェクト

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イベント情報

下記の日程でイベントを開催します。

9月14日(月)19:00-21:00 オープニング
9月19日(土)16:00-16:30 ライブペインティング しんぞう+工藤春香(朗読:月乃光司)
      16:40-17:40 アーティストトーク パルコ木下+しんぞう+工藤春香
9月20日(日)16:00-17:00 アーティストトーク 塩川彩生+工藤春香
9月27日(日)13:30-15:00 子どものためのワークショップ 工藤春香+塩川彩生+しんぞう
10月3日(土)16:00-17:00 アーティストトーク 黒野裕一郎+塩谷良太+平川正

平川正


平川正
Tadashi Hirakawa
1980年広島県生まれ.
本来、彫刻が持つ重量感を越え、重力が逆転した彫刻に挑み、海の中で自由に形を変えながら浮遊するくらげをモチーフにした木彫作品を制作している。
Born in Hiroshima Prefecture in 1980.
Hirakawa, challenging the solidity of conventional wooden works, carves wooden sculptures that have reversed the sense of gravity. His works have the motif of floating jellyfish in the sea, freely changes shapes.

しんぞう


しんぞう
Sinzow
1974年神奈川県生まれ。
内面をさらけ出しているような、歪んだ表情や強迫的な目をした人物など強烈な印象を与える作品を描いている。
Born in Kanagawa Prefecture in 1974.
Sinzow’s works reveal the inner world of people through tortured expressions or threatening eyes, leaving strong impressions on the viewers.

しんぞうホームページ http://www.sinzow.com/
しんぞうブログ「しんぞうばくばく日記」 http://sinzow.exblog.jp/

塩谷良太


塩谷良太
Ryota Shioya
1978年東京都生まれ。
貝とクリップが融合した作品を、陶という工芸的な素材を用いて制作している。大小さまざまな大きさのクリップを制作しており、時に本人や氷を挟むほどの巨大なクリップが登場する。
Born in Tokyo in 1978.
Shioya’s sculptures are a combination of shells and clips, using ceramics. He creates clips of various sizes, Sometimes so large as to clip up ice blocks or the artist himself.

塩谷良太ホームページ
http://www.shioya-ryota.com/

塩川彩生


塩川彩生
Ayao Shiokawa
1978年神奈川県生まれ。
鏡の中のようなぼんやりした世界を、淡い色彩と繰り返されるモチーフで構成された作品を、木版技法を用いて表現している。
Born in Kanagawa Prefecture in 1978.
Using the art of woodcut, Shiokawa expresses a dim world similar to being on the other side of the mirror. Her works are composed of light colors and repeated motives.

黒野裕一郎



黒野裕一郎
Yuichiro Kurono
1981年大分県生まれ。
取り壊し予定のビルや屋外での展示を数多く行い、周囲の環境によって刻一刻と作品が変化して見えるインスタレーション作品を展開している。
Born in Oita Prefecture in 1981.
Kurono’s installation works gives an impression of varying hour to hour depending on the surrounding situation. His works have been exhibited on numerous occasions outside and in buildings to be demolished.

黒野裕一郎ホームページ

工藤春香



工藤春香
Haruka Kudo
1977年東京都生まれ。
山や川などの自然風景を想起させる静けさと、まるで生き物が蠢いているようでもあるエネルギーを併せ持つ心象風景を描いている。
Born in Tokyo in 1977.
She paints imagined sceneries that remind viewers of both the calmness of natural surroundings and the roaring energy of living things.

2009年8月12日水曜日

「柔らかな器ー感覚の境目を行き来する6人の作家」

「器」は容れ物だけでなく、人の度量も指すおもしろい言葉です。「柔らかな器」は想像力でいくらでも変えることのできる美術という枠や周囲の環境などの「器」と、それに対応する可塑性のある「器」をイメージしています。本展で紹介する6人のアーティストは常に変化する周囲の環境という器のなかで、どんな作品=器によって、自分自身の五感と向き合っているのでしょうか。

本展の出品アーティストは30歳前後の若手作家です。ロスト・ジェネレーション(失われた世代)と呼ばれることすらあるこの世代は、泡のような好景気の後に思春期を迎えると、地下鉄サリン事件や阪神淡路大震災がおこり、20歳前後で911がおこりました。この世代の感性には、あきらめと期待の混じった感覚、老いた穏やかさと無防備さが同居する、奇妙なやわらかさがあります。彼らが現代美術の目新しさや、純粋に創るという直感に頼らず、美術というまっさらな器の中に自分なりの方法で無限を作り出していく感覚に寄り添っていただければと考えています。

アーティストの発起による本展の舞台は、銭湯の二階部分です。一階は今も営業中の現役の銭湯です。6名のアーティストの新作を、今は使われていない風呂場や休憩室、脱衣所などさまざまな表情を持つ会場で、是非ご堪能下さい。